止まり木館

ミステリの創作活動をしている京都発の小説サークル、止まり木館と申します。 普段はオフラインイベントにて創作短編集『玩具の棺』を発表していますが、今年は電子版でもVol.5をお届けします。 ↓集まった作者と収録作↓ 【Y・W】登蟷螂 1945年、日本人である「わたし」はアメリカ人神父であるウィルソンに向けて手紙を書いた。あの大空襲の日に彼らがともに犯した罪についての手紙を。神父に向けて出された手紙はやがて「わたしたち」から「彼ら」に向けた銃口へと姿を変える。銃後の社会を舞台に信仰の衝突を描くミステリ。 【紙葉の街】鷲羽巧 《それは彼の家。彼らの家だ。男は方眼紙に開いた窓から、空っぽの室内を見る。そこは彼のいる場所だ》――男が殺された現場には、彼が作り上げた街の模型が置かれていた。開かれながら閉じたような街の、壊れてしまった家庭のなかで、彼は何を作ろうとしたのか。彼はなぜ死んだのか。 【少女の夢は希望に宿る】守田真希 「誰かが止まってあげないと、悲しいでしょ？」死後の世界。無数の駅の間を縫って、夢乃を乗せた列車は進んでいく。やがて止まった駅で、夢乃はある事件を目にすることに。顔を潰された死体。食い違う証言。謎を解明し、真相を知った後に溢れる涙。夢乃が目にしたのは、誰かの過去で、想いだった。 　 【多分、雨のせい】佐伯真鞘 雨が嫌いな藤生は、放課後の図書室で雨宿りをしていた。――突如鳴り響く盗難防止のブザーの音、図書室の静謐を切り裂くその音に藤生は迷惑する。クラスメイトの智也とともに、どうしてブザーが鳴ったのか理由を考えて暇つぶしをするも、ブザーは再び鳴り響き……。 【波と、ふたりと】神谷貴至 最近、彼の様子がおかしい――犯罪捜査ゼミに所属する実乃莉は、恋人の孝志の挙動に不穏な予感を覚え、ひそかに調査を開始する。しかし、実乃莉のゼミの仲間を巻き込んで、事件は思わぬ展開を見せ……。東奔西走の果てに、実乃莉は孝志の真意へとたどり着けるのか。 【千利休と千年の謎】最上いつき 傾きかけの流派の蔵から見つかった利休ゆかりの茶碗、そのお披露目となる茶会のさなか殺人は起きた。それも、誰にも犯行は不可能な状況で――。犯人は誰か、その方法は。茶道家・日室茶折のロジックが事件の謎を切り裂くとき、歴史に秘められた驚愕の真実が明らかになる。 いろんな個性の書き手の、いろんな作品が集まっています。 お手にとっていただけると幸いです！